コンテンツマーケティング
2019.01.25 (金)
キュレーションメディアの著作権問題について。侵害された時はどう対処する?
情報のまとめサイトであるキュレーションメディア。
様々な情報が手軽に入手できる便利なサイトではありますが、昨今において大手のメディアまでもが閉鎖に追い込まれたケースもあります。
その原因として問題視されているのが「著作権」です。
他サイトのコンテンツや画像を無断で使用したり、悪意が無くても知らず知らずにうちに著作権を侵害してしまっていた、ということも考えられるので、十分な注意が必要なのです。
ここでは、キュレーションメディアで著作権を侵害しないための注意点から、万が一、自分の著作権が侵害されてしまったときの対応についてお話しします。
▼目次
著作権侵害に当たらない「引用」とは
著作権のルールにおいて認識されているのは、「引用であれば著作権侵害にはならない」という点です。
確かに、サイトのコンテンツや画像を無断使用するのは著作権法に違反してしまいますが、「引用」は以下の著作権法において認められています。
しかし、単に引用元のURLを記載していれば問題ないという誤解をしている方も多いのではないでしょうか。
実際には、引用が認められるケースは極わずかで、以下のようなケースの場合には、許可なく他サイトのコンテンツを使用することは認められていないのです。
■ケース①
自社でオリジナルのコンテンツを作らないが、自社へのアクセス数をアップさせる目的で、他人に著作権のあるテキストや画像を無断で転載する
■ケース②
自社の記事をユーザーの目に留まりやすくする目的で、他人に著作権がある画像を無断で転載するケース
では、引用が認められているケースとはどのようなものなのでしょうか?
「引用」認められる基準とは
著作権法で認められている引用の範囲とは、以下のように定義されています。
『公表された著作物は引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公平な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内でおこなわれるものでなければならない。』
つまり、自分のオリジナルのコンテンツを発信するために、他人の著作物の引用が必要不可欠な場合のみに認められているということになります。
この著作権法が定めるルールによると、さらに詳しいルールが設けられています。以下に詳しい内容をまとめてみました。
①引用コンテンツがメインでないこと
他人のテキストが引用により使用できるのには、文章の量や内容的にみて、自社のオリジナルコンテンツが主であり、引用されているコンテンツが従であることが必要です。
例えば、
・メディアのオリジナルコンテンツの部分が少ない場合
・引用部分のの説明分程度である場合
・他人のコンテンツを引用している部分の方が多い
このようなケースでは、正当な「引用」として認められません。
引用元を掲載していたとしても、著作権侵害として訴訟される場合があります。
②自社コンテンツ発信のために引用の必要なこと
引用が法律的に認められるのには、「引用の必要がある場合」に限られます。
この場合とは、自社のオリジナルコンテンツを発信するときに、それについて批判や講評、コメントをするなどのために他人のコンテンツ引用が必要な場合ということです。
そのため、
・キュレーションメディアがアクセス数をアップさせるために他人のコンテンツを転載する
・ユーザーの興味を引く目的で、他人の画像をアイキャッチ画像やイメージ画像を無断で使用する
このような目的の場合の引用は、著作権法では認められません。
仮に引用部分がメインでなかったとしても、引用の必要性がない場合には著作権侵害に当たるという訳です。
③引用部分が明確に分かること
引用が認められるためには、引用されているコンテンツの出典を明記する必要があります。
そのため、引用部分には引用と分かるようにWEBサイト名とURLを明記することが必要です。
ただし例外として、「埋め込み式リンク」の場合は著作権侵害に当たらないとされています。
埋め込み式リンクとは、ネット上にリンクを貼ることで、リンク元のWEBサイトへ誘導し、閲覧できるようにすることです。
著作権とは、無断コピーを禁止する権利です。埋め込み式リンクだと、ネット上にアップロードされている他人のコンテンツや画像をコピーして転載するのでコピーに当たり、著作権侵害に当たります。
しかし、埋め込み式リンクであればコピーしていないという観点から、著作権侵害には当たらないということです。
「引用」と「転載」の違いまとめ
上記で述べたように、著作権侵害に当たる場合とは「転載」で、「引用」は法律的に認められています。
この「転載」と「引用」は、他社のコンテンツを自社に使用しているという点では同じですが、以下のように意味合いが異なります。
【引用】自社コンテンツを補完する目的(必要であること)
【転載】他人コンテンツを、自社コンテンツのメインとして扱う
このように、引用として認められるには、自社コンテンツの独自性が高く、自社コンテンツを完成させるために他社コンテンツを引き合いに出す必要がある場合に限られるということです。
分かりやすく理解するために、下記に引用の考え方についての例をまとめてみました。
■引用ができないNGケース
・引用部分がコンテンツのメインとなっている
・引用元が記載されていない
・引用元のリンクが貼られていない
・他社コンテンツ全体を丸々転載している
・サイトポリシーや利用規約の引用条件を守らない
・オリジナルと引用の区別がつかないように表記している
■引用として認められるケース
・サイトポリシーや利用規約に書かれた条件を守っている
・あくまでオリジナルコンテンツを」補完する目的で、最小限の引用をする
・引用箇所を明確に表記する
・引用元のサイト名、URLを正しく貼る
リライトは著作権上問題ないのか?
キュレーションメディアなどの著作権問題でよく批判されているのは、コンテンツの「リライト」についてです。
元サイトのコンテンツをベースに、文章のニュアンスや書き方を変えて自社コンテンツとして書き直すことですが、著作権法上どこまで許されるのかが課題とされています。
著作権法では、元コンテンツの著作権において3つの概念があります。
①複製:元の著作物をそっくりそのままコピーすること
②翻案:著作物の本質的な特徴を維持しつつ、表現を修正したり変更すること
③その他:「複製」と「翻案」に該当しないもの
このとき、①「複製」と②「翻案」に当てはまる場合は、著作権者の承諾がなければ行うことができないので、無断で行った場合は著作権侵害となります。
①②に当てはまらない場合のに、無許可で自由に行うことができます。
具体的な判断基準は?
上記の3つの概念を見て、①の「複製」についてはどう見ても著作権侵害にあたると予想できますが、②の「翻案」については抽象的で理解しにくい点でもあります。
しかし、この「翻案」を維持できるかどうかで著作権侵害になるかどうかの境界線となるので、正しく理解を深めておくことが大切です。
この「翻案」の判断基準とは、以下にように考えられます。
・思想や感情、事実、データ、科学的知見などのコンテンツの中心核以外の、表現に当たる部分が異なる場合は翻案に当たらない
・誰が書いても同じような表現にならざる得ないもの、表現の選択の幅が狭いものについては、同じ表現の場合でも翻案に該当しにくい
そもそも著作権法とは、個人の「表現」を保護するためにあります。
そのため、事実や事件、データ、科学的な根拠に基づくコンテンツの中心核を模倣したとしても、翻案には当たらないということです。
また、医学情報などのように科学的な知見であるものに関しては、表現の幅が狭く、誰が書いても同じ表見にならざるを得ません。つまり、丸写しのコピーでない限りは翻案に該当せず、著作権侵害には当たらないといえます。
自分の著作権が侵害されたときの対応について
ここまでは、キュレーションメディア制作側としての著作権侵害の注意点についてお話ししてきました。
しかし、もし反対に、自分のコンテンツや画像などが無断で転載され、デメリットを被る場合は、どのように対応すればよいのでしょうか?
そのような場合は、自身の著作権に基づいて、コンテンツの削除や損害賠償の請求を訴えることができます。
無断転載されたコンテンツの削除を求める
自身のコンテンツや画像がっ無断で転載されている場合、コンテンツの削除を求めることができます。
メディアに記載の問い合わせフォームやメールなどで著作権が侵害に当たることを申し出ましょう。
通常であれば、この申し出によってコンテンツを削除することができるようになっています。
損害賠償を求める
コンテンツの無断転載によって、大きなデメリットや被害を受けた場合には、損害賠償の支払を求めることも可能です。
コンテンツの削除だけでなく、内容証明郵便などの手段を使って損害賠償の支払いを求めましょう。
ただし、著作権の侵害に当たるかどうかを判断したり、適切な損害賠償額を決定することは容易なことではありません。
損害賠償を求める場合には、著作権問題に強い弁護士に相談するのもひとつの手と言えるでしょう。
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