リスティング広告

2021.03.23 (火)

Google広告の新たな運用指針「mugen」とは?

Google広告の新たな運用指針「mugen」とは?

リスティング広告は機能や仕組みなど日々進化しており、広告運用で欠かせないものです。
Google広告もAIによる自動化や機械学習の精度など、広告配信の精度も向上し続けています。
これに伴い、Google広告において推奨しているアカウント設計や運用指針も変化してきましたが、2019年以降は新しい運用指針として「mugen」が推奨されるようになりました。
この記事では、これまでの運用指針のおさらいからmugenの構成要素、導入すべきケースまで詳しくお話しします。

「mugen」は、Googleの新しいフレームワーク

「mugen」は、Googleの新しいフレームワーク

まずはじめに、「mugen」とはどういうものか、「mugen」になるまでの運用指針の流れを確認しましょう。

◆「mugen」とは
「mugen」とはGoogleが推奨している新しい運用指針です。
2019年にGoogleが「mugen」を提唱するまでに、「hagakure」 や「GORIN」が提唱されていました。過去の運用指針をベースに、広告運用で重要な指標である「コンバージョンの最大化」「CPAの効率化」など機械学習による配信の最適化をおこないながら、今までアプローチできていなかった層のユーザーへアプローチしつつインプレッションの拡大を目的としたものが「mugen」です。

「hagakure」「GORIN」までの流れ

「mugen」のベースとなる「hagakure」「GORIN」が登場した経緯について、おさらいしましょう。

(1)hagakure登場以前
2014年以前、hagakureが登場するまでは、「1キャンペーン・1広告グループ・1キーワード」というように、細かく設定する方法アカウント設計が一般的でした。
アカウント設計を細かく設定することにより、登録しているキーワードに合わせた広告文を設定することができるため、推定クリック率を向上させることができます。
推定クリック率が向上することで広告の品質スコアがあがり、入札単価が低くても検索結果で上位表示されやすいと考えられていました。
しかし、インプレッションや検索語句が限定的で、かつキーワードごとにキャンペーンや広告グループを作成しなければならないという工数がかかる点が問題となっていました。
これらの課題を解決するためにGoogleが提唱した概念が「hagakure」です。

(2)hagakureの推奨(2014年〜)
hagakureは「1キャンペーン・1広告グループ・1キーワード」とは真逆の、アカウント構造を最適化し機械学習を効率的に進めるアカウント設計を推奨しました。
「hagakure」はインプレッション(表示回数)を集約させることを目的とし、1つのキャンペーンまたは1つの広告グループに複数のマッチタイプとキーワードを追加する構造です。
「hagakure」が推奨されるようになったのは、Google 広告の機械学習の精度があがったことが大きく影響しています。
機械学習を進めるためにはインプレッションが必要です。

インプレッションを集約させるよう、できるだけシンプルなアカウント構造が重要となり推奨され始めたのが「hagakure」です。
インプレッションが集約されたことで、運用に必要なデータの蓄積されやすくなり、キーワードの追加や除外、広告文の改善が容易になりました。
「Hagakure」によって、インプレッション数やコンバージョン数は以前より改善されたものの、機械学習の精度は現在と比べると低く、さらにCPAの悪化などの問題が起きることもありました。

そこで、次にGoogleが提唱した概念が「GORIN」です。

(3)GORINの推奨(2016年〜)
Googleはユーザーが求めた情報を最適なタイミングで届けることを目的としたGORINを提唱しました。
以前よりもGoogle 広告の機械学習の精度がさらに向上したことで、複雑化するユーザーの行動にも対応しつつ、広告配信の効果を最大化できるようになったのです。

GORINには5つの要素があります。

【1】アカウント設計
hagakureの考えに則り、アカウント設計はシンプルにする。機械学習を効率的におこなうため、データを蓄積しやすい構成にする。

【2】リーチ
データ蓄積のため、広告のインプレッションを多く獲得するようなリーチを広く取った設計にする。

【3】ターゲティング
ターゲットとするユーザーのみ広告を配信するよう、ターゲティングを設定する。

ただリーチを拡大するのではなく、適切なターゲティングによる無駄な広告費の削減を行う。

【4】広告フォーマット
質の高いクリックを獲得するために、広告がユーザーの目に留まる位置に広告を表示されるようにする。広告表示オプションを活用することで、掲載される広告の面積を広げ、ユーザの興味を引きます。

【5】効果測定
KPI (重要評価指標)を設定し、正しく効果測定し改善に活かす。上記と合わせて、アトリビューションモデルを活用し、ラストクリック以外の成果に至るまでの広告の貢献度を評価することも推奨されています。

「GORIN」によってアカウント運用の効率化は進みました。

しかし、コンバージョン数が伸び悩むアカウントが増えたため、Googleは2019年に「hagakure」のコンバージョン数と「GORIN」のコンバージョン単価の効率化の流れを汲んだ新しいアカウント設計である「mugen」を提唱したのです。

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mugenの構成要素は大きく3つ!

mugenの構成要素は大きく3つ!

mugenを構成している要素は大きく3つあります。

それぞれ詳しくみていきましょう。 

1.KPIに応じた入札戦略

mugenはデータドリブンアトリビューションを活用し、コンバージョンに至るまでの経路にも貢献度を割り振ります。
これまではラストクリックモデルを採用することが多かったものの、インターネットが普及し多くの情報を得ることができるようになったため、ユーザーはさまざまな行動を経てコンバージョンに至ることが多くなりました。
ユーザーが商材を認知しコンバージョンにいたるまでの間に触れた広告のうち、どの広告がコンバージョンへの貢献度が高いかを把握し、広告を運用する事が重要です。
そのため、KPIに応じた自動入札を設定することがGoogle広告によって推奨されています。

以下の3つの要素が重要視されていますので、それぞれ確認してください。

【1】クリック数の最大化
予算内でクリック数を最大化する

【2】インプレッションシェアの最大化
予算内で、インプレッションシェアを最大化する

【3】データドリブンアトリビューションとスマート自動入札
スマート自動入札には「拡張クリック単価」「目標コンバージョン単価」「コンバーション数の最大化」「目標費用対効果」「コンバージョン値の最大化」の5つがあります。

1)拡張クリック単価
設定したクリック単価の増減50%以内でコンバージョンを最大化する

2)目標コンバージョン単価
設定したコンバージョン単価内でコンバージョンを最大化する

3)コンバージョン数の最大化
設定した予算内でコンバージョン数を最大化する

4)目標費用対効果
設定した目標費用対効果で、コンバージョン数や収益を最大化する

5)コンバージョン値の最大化
キーワードごとの重要性を加味しコンバージョン数を最大化する

上記のようにさまざまな入札方法がありますが、目標を達成するために適しているのであれば、どの入札方法でも設定することができます。

2.キーワードとターゲティング

mugenのリーチはさらに狙うところを広げ、インプレッション数を拡大するための指針です。
インプレッション数を拡大するにあたり、以下の3つの要素が重要視されています。

【1】動的検索広告
【2】部分一致キーワードの設定
【3】絞り込み部分一致キーワード設定

mugenでは動的検索広告(DSA)の導入が推奨されています。

動的検索広告(DSA)は、特定のウェブサイトやランディングページのURLやコンテンツを元に関係する検索語句を見つけ、検索語句に対して関連どの高い広告見出しを自動生成する機能です。
手動では把握できなかった検索語句に対しても広告を表示することができるため、より広くリーチを広げることができるでしょう。

動的検索広告(DSA)とスマート自動入札を組み合わせれば、より効果を高めるられる可能性があります。
想定していなかった除外すべきキーワードなどを目視で確認し、ユーザーのニーズと一致しないような検索語句で表示されないよう気をつけましょう。

3.広告の品質

mugenは過去の運用指針に比べ、よりインプレッションが出るようなアカウントの設計を行います。
広告の品質において、以下の6つの要素が重要視されています。

【1】レスポンシブ検索広告(RSA)
【2】動的検索広告
【3】3つ以上の広告
【4】ユニークな広告
【5】広告カスタマイザ
【6】キーワード挿入機能

mugenの広告品質において、特に推奨しているものがレスポンシブ検索広告(RSA)です。
レスポンシブ検索広告は、今までの拡張テキスト広告よりも多く見出しや説明文を設定することができます。

《レスポンシブ検索広告で設定できること》
・見出し:3~15個まで(半角30文字以内)
・説明文:2~4つまで(半角90文字以内)

上記で設定したものの中から、検索語句と関連性の高いものを機械学習に基づき自動的に表示させることが可能です。
この機能により、さまざまな検索語句に対応する事ができ、クリック数やコンバージョン数の増加が見込めるのです。

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どのようなケースでmugenを導入するべき?

どのようなケースでmugenを導入するべき?

広告運用で重要なことは目的を達成することです。「mugen」の導入が、すべてのアカウントにとってメリットがあるわけではありません。
「mugen」を導入すべきなのか、導入をしない方がいいのか、どのように判断したらいいのでしょうか。
「mugen」導入にあたって知っておきたい2つの判断軸を紹介します。

ベースとなるHagakure~3Aまでの流れを組んでいる場合

「mugen」の導入すべきかどうかは、過去のアカウント設計である「hagakure」「GORIN」「3A(※)」の流れを組んでいるかが重要です。

過去の運用指針を組んだアカウント設計となっていれば、「mugen」は有効に作用するでしょう。

しかし、これまでのアカウント設計を組んでおらず、以下のようなアカウントでは、機械学習がうまく進まず、効率的なアカウント運用ができない可能性が高いです。

《「mugen」を導入してもうまく運用できないアカウント構成の例》
・1つのキャンペーンにデータが集約できておらず、複数のキャンペーンにデータが細分化されている
・オーディエンスの設定が少なく、オーディエンスリストの活用ができていない

過去の運用指針を組んだアカウント設計でなければ、CPAが高騰することも考えられます。

 

(※)3Aとは
Googleが2018年以降に推奨している広告運用の指標で、アカウント構造戦略である「Automation(スマート自動入札)」「Attribution(アトリビューションモデルの変更)」「Audience(オーディエンスリストの活用)」の頭文字を取ったもの。

潜在層へアプローチを強化したい場合

潜在層へアプローチを強化したいと考えているのなら、「mugen」の導入をおすすめします。

潜在層に向けた認知度アップや興味・関心を引くような施策を行うことで、自社の売り上げにつながる可能性のあるユーザーからのインプレッションを増やすことが期待できるでしょう。その結果、「mugen」に含まれる施策の効果がより向上しやすくなるのです。

一方、現状目標CPAを達成していないアカウントは「mugen」を導入しないほうがいいでしょう。まずは、過去の運用指針である「「hagakure」や「GORIN」の考え方を理解し、それぞれの施策を取り入れることからはじめることをおすすめします。

また、「CPAがすべてではない」という考えも持っておくべきです。

明らかに結果が出ていないキャンペーンや広告グループは停止すべきですが、費用対効果が出ているキャンペーンや広告グループであればCPA以外の指標の優先順位をあげることが重要となる時もあります。
そうした方が費用対効果を維持しつつ、新規ユーザーやコンバージョンの獲得につながることもあるのです。

顕在層だけでなく潜在層へのアプローチが必要となった時、「mugen」を導入することをおすすめします。

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アカウント設計のベースを整えてから活用を

アカウント設計のベースを整えてから活用を

「mugen」を実施する場合、過去のアカウント設計である「hagakure」「GORIN」への理解と設計が必要です。

「mugen」を活用するためにも、まずはアカウントの設計ベースを整え、mugenの導入準備を行いましょう。
この記事が御社の広告運用に役立つことを祈っています。

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